漁業研修に取組む水沼吾郎さん毎年、三宅島漁業協同組合が行っている漁業後継者を育成するための短期研修事業。研修終了後に漁協に提出するレポートに「長期研修第1期生として後進の手本になりたい」と書き記した若者がいる。水沼吾郎さん(35歳)その人だ。彼はその言葉どおり、昨年11月から三宅島漁協の長期研修生となった。そして夢の実現に向け、黙々と、ひたむきに漁業に取り組んでいる。 島暮らしへの憧れと希望、三宅島へ
きびしい修業そして失敗
漁の厳しさと努力が報われる喜び
仕事にも慣れ、島にもとけ込んだ生活
彼の夢は島の未来へとつながっていく
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親方は潮の流れをよみ、魚探の反応を探りながら水深400mから500mの瀬と呼ばれるポイントに船を廻す。一瞬、漁船のエンジン音が高鳴り船が海面に静止する。「いいぞ!」親方の掛け声とともに仕掛けを海中に下ろし、魚の食いつきをまってから巻上げる。仕掛けの投入から巻上げまでおよそ1時間。この操業サイクルを繰り返していく。通常は午後2時まで、魚の食いがいい時は4時ぐらいまで操業する。この季節の海は荒れることが多く、船上作業は危険を伴う重労働だ。操業が終わり、港に帰っても、水揚・出荷作業が待っている。家に帰るころには、とうに日が暮れている。翌日も凪であれば再び出漁するので、晩御飯を食べるとすぐに寝る日々。しかし、その甲斐もあってか、彼が乗船する大洋丸は春先までに何度か三宅島で1番漁を記録することになった。
「正直、きつかったですが、何度か大漁を経験することができて、本当に嬉しかった。」努力した結果が表れる、そんな漁業の魅力を感じているに違いない。「青黒い海の中から真っ赤なキンメダイがあがってくる様子はとても綺麗ですよ」と笑顔で語った。